世界でもっとも多様な人々が住む地、ニューヨークのクイーンズ区出身のRyan mitchell grey。様々な背景を持つ人々が持つバックボーンを見聞きしてきたのか、一言では言い表しづらい独創的なソング・ライティングが特徴のアーティストです。
アコースティックギター一本の弾き語りから電子楽器を用いたデジタルなトラックまで、様々な手法を用いて楽曲を作るスタイルが魅力ですが、その楽曲群は一貫して「前向きな」雰囲気を纏っています。
彼が模索し続けたポップ・ソングの到達点を表現する「NE PLUS ULTRA」
2017年に発売されたアルバム「NE PLUS ULTRA」は日本語で表すと「極限」「極致」といった意味を持ちます。
彼の音楽的な体験や、様々な知識・経験を最大限に表現したそのアルバムは、クラウドファンディングを使用して資金を集め、見事に目標金額を上回る支援を得て作られたアルバムとのこと。
全体的にややデジタル寄りの作品ではありますが、ラウンジやアーバン・ポップのような色気のある雰囲気を持つ「Astor」や、同様に都会的な香りを残しつつも、ほどよく緊張感が抜けて爽やかな歌声が響く「Cruisin’80 (feat. Daniela Andade)」。
水中にいるようなアンビエント感から徐々にリズムが熱を持ち、色を変えていく様が特徴的な楽曲「Reset」など、一貫したコンセプトの中に色々な表情が見え隠れする素晴らしいアルバムとなっています。
ギター・サウンドが印象的でまた違った印象を感じる過去作「Moceans」
最近の活動においては若干ギター離れしてしまった印象のあるRyan mitchell greyですが、過去作においてはポスト・ロックやドリーム・ポップのようなディレイ使いが印象に残る「Ponderfall」や、流れるような横ノリの中でオリエンタルなイメージが沸き立つ琴的な楽器が特徴の「Moceans」など、バンド・スタイル寄りな作品もあり、表現の幅広さに驚かされます。
一定のスタイルに囚われず、自由に変化する事ができるという強み。
過去にはMitchell Greyというバンドでも活動していた(現在は休止?)彼は、ソロで活動することによりあらゆるスタイルでもって変幻自在に自分を表現するための手段を得ました。
緩やかではありますが、確実な歩みで作品作りに打ち込むRyan mitchell grey。先日も新たにThe Jonas BrothersのI Believeをサンプリングした楽曲のMVが公開されたばかり。
彼が次に発表する作品はどのような表情を見せてくれるのか、期待が膨らみます。
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