近年、ますます大きな盛り上がりをみせているリミックスやマッシュアップ、エディット。これらのジャンルは現代において、もはやメジャージャンルのひとつと言っても過言ではありません。
その背景には年々進化する音楽制作環境の変化やDIYミュージック、ベッドルームプロデューサーが多く誕生していることなども関係しているのかもしれません。
最終週となるシリーズ第3回も、引き続きリミックスまたはそのアーティスト等に焦点をあて、オリジナル曲と共に内容をお届け致します。
オリジナルを軸とした、異なるアレンジまたは音楽性などもあわせてワイドにお楽しみください!
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Billie Eilish - Ocean Eyes
アメリカのシンガーソングライター、Billie Eilish。彼女のデビュー曲となる「Ocean Eyes」は2015年、SoundCloudにアップしたことをきっかけにわずか約24時間で爆発的な再生数を記録し、大ヒットしたことは有名な話。
それもダンスの先生に振り付け用の曲として依頼され、兄・FINNEASと共に制作したもので、リリースを予定しているものではなかったというのだから驚きです。
兄とともに不動の人気を誇るBillie Eilishの名曲「Ocean Eyes」のリミックスの中から今回は、オランダのプロデューサー/DJであるJengiことJan Berendsenのリミックスをチョイス。
ハウスビート、エレクトロを中心に様々なジャンルから影響を受けているJengiのリミックスは、オリジナルのしっとりとしたバラードから一転、強めの軽快なビートが癖になる新鮮なアレンジとなっています。
Marie Dahlstrøm - Bring Me Back
デンマーク出身ロンドン在住のシンガーソングライター、Marie Dahlstrøm。音楽を学ぶためにデンマークからロンドンに移住、その後も音楽に対するクリエイティビティやこだわりが、ファンのみならず同じアーティストからも多くの共感を得ています。
10年以上ものキャリアを積んでいる彼女が2020年にリリースした名盤『Like Sand』では、Beau DiakoやJames Vickery、Elijah Foxといった錚々たる面々とのコラボ曲がズラリ。豪華な1枚となっています。また、2021年10月には最新EP『Safe Place』もリリースしたばかり。
精力的に活動を続ける彼女が2019年にリリースした『Kanel(Remixes) - EP』は、2018年リリースのEP『Kanel』から2曲のリミックス含む全4曲を収録。こちらはロンドンのプロデューサー・マルチインストゥルメンタリスト、Conor Albertがリミックスを担当しています。
今回ピックアップした「Bring Me Back」は、ハウスグルーブを感じられるダンサブルなオリジナルに対し、Conorのリミックスはよりジャジーでソウルフルなアレンジに。両曲共にリラックスしたメロディーとの調和が美しいアレンジとなっています。
Hablot Brown - GO
LAを拠点に活動する3ピースバンド、Hablot Brown。Linusはシンガポールで、AustinとJohnは東海岸で育ちながらも、大学を中退後音楽を通じて全員のメンバーがLAへと引っ越し本格的に音楽制作を開始。
バンドの初シングル「Gone」や「Just Call」は約1年間で合計150万回以上ものストリーミングを記録。Tom Mischのツアーではオープニングアクトを務めた経験も。心地よいR&B、ネオソウルサウンドで多くの人気を集めています。
そんな彼らが2020年にリリースしたEP『OPAQUE』収録曲「GO」をLars DalesとMaarten Smeetsからなるオランダ・アムステルダムのDJ・プロデューサーデュオ、Dam Swindle(Detroit Swindle)がリミックス。
モータウン・ソウル、ファンク、ヒップホップ、ジャズの鮮やかなミックスから、ディープハウスを中心に形容し難いオリジナルジャンルサウンドで多くのファンを魅了しています。
Zimmer - Lost Your Mind ft. Fhin
FKJやDariusなどのアーティストを抱えるパリのエレクトロニックミュージックレーベルRoche Musique所属、パリ在住のプロデューサーZimmer。フランスとカリフォルニアの国籍を持ち、エレクトロニック・ニューウェーブとして異才を放っています。
「Lost Your Mind」は2016年にリリースされたシングルで、フランス・パリ出身のシンガーソングライターのFhinをフィーチャー。イントロから美しい独特の世界観でリスナーを引き込みます。
この曲を同じくRoche Musiqueの象徴的存在であるKartellがリミックス。エレクトロニックシーンの革命児として注目され、Kartellとしての楽曲はもちろん、DJのスキルやセンス、ニューディスコやR&Bのアクセントが効いたアプローチで多くの人気を集めています。
彼らの楽曲から「フレンチタッチ」エレクトロニックミュージックをキャッチするのも楽しみ方の一つではないでしょうか。
CHINAH - We Go Back
デンマーク・コペンハーゲン出身の3人組バンドCHINAH。バンド結成当初はフォークの影響を強く受けたサウンドから、現在はミニマルなビートやシンセサイザーを取り入れたエレクトロニックなサウンドへとジャンルの幅を広げました。また、詩やメロディが引き立つパフォーマンスも特徴的です。
2016年にEP『Once The Lights Are On』、2017年はEP『Hints』をリリースし、オーガニックなギター、ハードなシンセ、切ないボーカルの音楽スタイルが話題となり、高い評価を獲得しました。
昨年2021年にも最新AL『Feels Like Forever』をリリースしたばかり。こちらもぜひチェックしてみてください。
今回はEP『Once The Lights Are On』から、スウェーデン、ストックホルムを拠点に活動するプロダクション・デュオ、Jaramiの「We Go Back」リミックスをセレクト。
Camila CabelloやFrank Ocean、RuelやHONNEなどのリミックスなども担当し、これまでの活動に加え全世界でJaramiとしての知名度も高い2人。
同じ曲とは思えないほど斬新なリミックスですが、オリジナルの繊細さはそのままなのもポイントです。